実験医学増刊 Vol.21 No.8 2003
再生医療へと動き始めた
幹細胞研究の最先端
増殖・分化,再プログラム化のメカニズム究明から実現しつつある臨床応用の現状と展望まで


編集:岡野栄之,中辻憲夫
 出版社  羊土社

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【概論】:再生医療へ向けた幹細胞研究
岡野栄之

1.再生医療のはじまり 2.幹細胞研究の隆盛 3.幹細胞研究の課題 4.pure scienceから再生医療へ

■ 第1章 幹細胞の増殖・分化機構とその制御

1)胚性幹細胞

1.ES細胞の多能性を維持する分子機構
丹羽仁史

1.「多能性」の定義 2.ES細胞の分化 3.多能性を規定する分子群 4.多能性を維持する分子機構 5.発生過程における細胞多能性の維持

2.ES細胞の増殖能
小出 寛,横田 崇

1.ES細胞における細胞周期制御 2.ES細胞におけるテロメア維持機構 3.ES細胞の未分化状態維持機構 4.ES細胞の増殖因子

3.ES細胞から中胚葉系譜への分化
小川 峰太郎

1.中胚葉から心筋へ 2. 中胚葉から血管へ 3.血管から血液へ

4.ES細胞からの膵島細胞分化
宮崎純一,宮崎早月,倭 英司

1.細胞移植の材料としてのES細胞 2.膵臓の分化について 3.ES細胞から膵β細胞をつくることは可能か?

5.霊長類ES細胞株
末盛博文

1.ES細胞株の樹立 2.霊長類ES細胞株の樹立とその性質 3.ヒトES細胞の医療応用に向けての課題

2)組織幹細胞

1.中枢神経系の幹細胞生物学
神山 淳,岡野栄之

1.神経幹細胞の局在 2.神経幹細胞の分化制御

2.小腸上皮幹細胞研究の新展開
Christopher S. Potten, Catherine Booth, Danielle Hargreaves 佐藤俊朗(訳)

1.幹細胞とは何か? 2.actual stem cellとpotential stem cell 3.幹細胞系譜 4.癌の発生における幹細胞の役割 5.薬剤標的としての幹細胞 6.幹細胞と創傷治癒 7.幹細胞と組織工学 8.幹細胞と遺伝子治療 9.小腸上皮幹細胞 10. DNA鎖の選択的分離 11.p53の調節 12.βカテニンの調節 13.幹細胞の未解決問題

3.膵の分化誘導と細胞系譜
粂 昭苑

1.膵臓の誘導シグナル 2.膵臓における細胞系譜の解析 3.膵臓細胞の存在

4.毛包の幹細胞システム
大沢匡毅,西村栄美

1.毛包の構造と毛周期 2.毛包中の幹細胞システム

5.造血幹細胞の増殖と分化
平井久丸

1.造血幹細胞とサイトカイン 2.造血幹細胞と造血系特異的転写因子 3.Notchシグナルによる造血制御 4.造血にかかわる多様なシグナル

6.血管内皮前駆細胞と血管再生について
西村浩美,浅原孝之

1.幹細胞からの組織再生には血管系の構築が必要である 2.血管の新規形成は血管新生と血管発生の相互作用による 3.血管内皮前駆細胞(EPC)と動脈硬化/虚血性疾患 4.血管内皮前駆細胞の再生医療への応用に関する検討

3)骨髄由来の多能性細胞

1.骨髄間質による骨・軟骨形成
梅澤明弘

1.ヒト骨髄間質細胞による軟骨への分化 2.ヒト細胞の遺伝子発現プロファイル 3.ヒト骨髄間質細胞の寿命延長 4.骨再生システムの供給源としての骨髄間質細胞 5.難治性骨折・骨欠損に対する骨再生の挑戦 6.胚葉を超えた間葉系幹細胞の可塑性

2.骨髄由来多能性幹細胞−幹細胞リザーバーとしての骨髄
安藤 潔

1.成体多能性幹細胞(MAPC) 2.骨髄多能性幹細胞の再生医療への応用 3.幹細胞リザーバーとしての骨髄

3.骨髄細胞の心筋細胞への分化誘導
大塚正史,永井敏雄,小室一成

1.骨髄間葉系細胞由来の心筋細胞 2.造血幹細胞由来の心筋細胞 3.幹細胞遊走にかかわる環境因子 4.幹細胞遊走を誘導する因子 5.動物実験における心筋再生 6.虚血性心疾患における心筋再生療法


■ 第2章 細胞の万能性と再プログラム化

1.生殖系列細胞の分化能と多能性
松居靖久

1.始原生殖細胞の形成と分化能 2.始原生殖細胞核の発生能の変化とエピジェネティクスとの関連

2.生殖細胞の再プログラム化
尾畑やよい,河野友宏,畑田出穂

1.受精卵と体細胞における後成的遺伝子修飾 2.インプリンティングの再プログラム 3.in vitroにおけるマウス未分化生殖細胞からの卵子構築

3.ES細胞による体細胞の再プログラム化
多田政子,多田 高

1.細胞融合によるゲノム再プログラム化機構の解析 2.ES細胞がもつ再プログラム化機構

4.組織幹細胞の可塑性
三好浩之,中内啓光

1.組織幹細胞の可塑性の報告 2.本当に可塑性なのか? 3.可塑性を解析する際の問題点 4.組織幹細胞の可塑性をどう考えるか

5.哺乳類の個体発生におけるエピジェネティックな記憶の再プログラム化
石野史敏

1.体細胞クローン技術で再プログラム化される記憶とされない記憶 2.クローン動物にみられるドナー細胞に由来する異常 3.体細胞クローン技術に由来する問題点 4.生殖細胞系列でのゲノムインプリンティング記憶の再プログラム化


■ 第3章 幹細胞の臨床応用

1.脳神経疾患に対する細胞移植療法−神経幹細胞への期待
新郷哲郎,伊逹 勲

1.脳内神経細胞移植の目的 2.神経幹細胞の脳内移植 3.神経幹細胞への遺伝子導入 4.ES細胞の神経移植 5.骨髄細胞の脳内移植 6.内在性神経幹細胞の応用

2.心筋における細胞治療
澤 芳樹

1.心臓に対する細胞移植法 2.骨格筋芽細胞移植 3.骨髄細胞移植 4.細胞移植および遺伝子治療を併用した心筋再生治療 5.心筋シートによる心筋再生

3.虚血性心臓病・虚血下肢への血管再生を目的とした細胞治療
井庭 理,松原弘明,岩坂壽二

1.血管新生とは 2.血管新生療法 3.骨髄細胞移植によるASO・バージャー病患者の虚血下肢への血管新生医療―TACT-1 Trial―Randomized, Double-Blind Control Study 4.狭心症に対する血管新生因子・遺伝子や造血性サイトカイン(GM-CSF, G-CSF)を用いた血管新生療法 5.狭心症に対する骨格筋芽幹細胞移植 6.大動物狭心症モデルに対する骨髄単核球細胞移植 7.No-option重症狭心症(CCS class IV)に対する骨髄単核球移植治療

4.間葉系幹細胞を利用した骨関節疾患治療
大串 始,高倉義典

1.骨関節疾患と骨髄間葉系幹細胞について 2.間葉系幹細胞由来再生培養骨を用いた治療 3.間葉系幹細胞そのものによる骨関節疾患の治療


■ 第4章 再生医療の現状と展望

1.再生医療の産業化:国内外の現状と今後の問題点
金村米博

1.海外における再生医療の研究開発と産業化の現状 2.日本における再生医療の産業化の現状 3.日本における再生医療の研究開発の促進を目指した国の取り組み 4.再生医療の産業化の方向性と今後の問題点

2.再生医療の産業化と幹細胞創薬
桜田一洋,市村通朗

1.幹細胞創薬 2.幹細胞を利用した細胞治療

3.再生医療とバイオベンチャー
森下竜一

1.なぜ日本でベンチャーが必要か? 2.ビジネスになる再生医療の出現 3.遺伝子治療・細胞治療をめぐる特許問題 4.血管再生を利用した細胞治療 5.大学発ベンチャーに向けた取り組み

4.ヒト幹細胞研究の倫理的・社会的問題
加藤和人

1.ヒトES細胞研究とヒト胚の扱い 2.日本におけるヒトES細胞研究の枠組み 3.世界の状況 4.ヒトクローン胚について 5.組織幹細胞の臨床応用をめぐる状況 6.今,何が必要か

索引


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