バイオウェブ


実験医学増刊 Vol.27 No.5 2009
分子標的薬開発への新たなる挑戦
有力な分子標的薬の創薬物語と新薬開発動向から次世代創薬テクノロジーまで
 出版社  羊土社

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■ 概論

鼎談:分子標的薬開発のいまを語る〜注目のシグナル機構と新薬創製のストラテジー
【岡野栄之/岩坪 威/佐谷秀行】

■ 第I部 有力な分子標的薬と開発が進むシグナル伝達作用薬

【第1章】がんの分子標的薬
1.タンパク質リン酸化酵素阻害薬
(サンペトラ・オルテア/佐谷秀行)
* BCR-ABL阻害剤
* EGFR阻害剤
* Raf阻害剤
* Auroraキナーゼ阻害剤

2.血管新生阻害剤(佐藤靖史)
* 血管新生制御の分子標的としてのVEGF
* VEGFシグナル伝達系を分子標的とする血管新生阻害剤
* VEGFシグナル伝達系を標的とする血管新生阻害剤の問題点
* VEGFシグナル伝達系を分子標的としない血管新生阻害剤

3.EMT制御と分子標的薬(狩野光伸/宮園浩平)
* EMTの概観と,疾患との関連
* 腫瘍の進行と転移におけるEMT
* EMTに関係する可能性のある分子標的薬の概観

4.がんの抗体医薬の現状と将来(設楽研也)
* 上市されたがん抗体医薬の最新動向
* がん抗体医薬の分子標的と抗腫瘍効果メカニズム
* 従来型のがん抗体医薬の限界と今後の方向性

【第2章】脳神経系の分子標的薬
1. donepezilの研究開発戦略(杉本八郎)
* コリン仮説
* さらに偶然の発見に出会う
* 新薬の開発に賭けて燃えた集団
* まさかの坂に遭遇
* donepezilへの展開
* donepezilの薬理作用
* donepezilの臨床治験

2. γセクレターゼインヒビター・モジュレーター(富田泰輔)
* γセクレターゼの分子実態と構造
* γセクレターゼインヒビターの開発と応用
* γセクレターゼモジュレーターの発見と応用
* Notch関連病態へのGSIの適用

3. 新規GSK3β阻害剤によって明らかになった成体神経前駆細胞におけるWnt/β-cateninシグナルの機能 (澤本和延)
* 新規GSK3β阻害剤Ro3303544
* 成体脳室下帯におけるWnt/β-cateninシグナルの機能

4. セマフォリン3A阻害剤(菊地 薫/熊谷和夫/木村 徹)
* 天然物からのSema3A阻害剤の探索
* SM-216289の作用メカニズム
* 脊髄損傷に対する治療効果

5. Rho〜脊髄損傷治療のターゲット(Noel J. Cusack/Susan M. Flint/Scott J. Munzer/Mark R. Hurtt)
* 神経成長阻害タンパク質によるRhoの活性化
* Rho:脊髄損傷治療のターゲットとして
* C3 transferaseを用いたRho阻害による脊髄損傷治療
* in vivo研究における機能回復の確認
* CethrinRの臨床評価

【第3章】免疫系の分子標的薬
1. 抗リウマチ薬「tocilizumab(ActemraR)」の創薬物語(大杉義征)
* 基礎研究によって解明された自己免疫疾患とIL-6のメカニズム
* IL-6の細胞内シグナル伝達様式と多彩な生物作用
* 基礎研究から開発への経緯
* マウス抗体のヒト化を決断
* 抗IL-6受容体抗体の非臨床薬効評価
* 開発を進めた産学連携
* 免疫炎症性疾患の症状発現におけるIL-6の役割とtocilizumabによる改善効果
* 関節リウマチ患者におけるtocilizumabの臨床効果の特徴

2. ケモカインの発見から臨床応用まで(松島綱治)
* ケモカインの炎症・免疫反応における役割
* ケモカイン受容体拮抗剤の開発
* ケモカイン・ケモカイン受容体を標的としたヒト型化抗体の開発

3. T細胞活性化抗原CD26標的薬剤(大沼 圭/森本幾夫)
* T細胞活性化抗原CD26について
* CD26抗体の効果について
* CD26抗体の副作用に関する問題
* AIDS治療薬の初期開発と現在・未来:分子標的薬剤開発の牽引車(満屋裕明)
* AIDSの出現と抗レトロウイルス剤の開発
* 分子標的薬剤としてのAIDS治療薬の研究・開発
* 逆転写酵素阻害剤
* プロテアーゼ阻害剤
* インテグラーゼ阻害剤
* 侵入阻害剤
* 今後の抗レトロウイルス剤開発の展望

【第4章】代謝・循環系の分子標的薬
1. アンジオテンシンU受容体拮抗薬〜candesartan cilexetilの研究開発(仲 建彦)
* レニン・アンジオテンシン系とその抑制薬
* アンジオテンシン<2受容体拮抗薬
* losartanの発見
* candesartanの発見
* candesartanの化学構造と薬理学的特徴
* candesartan cilexetilの創製
* candesartan cilexetilの臨床試験
* RASの新しい分子標的

2. HMG-CoA還元酵素阻害薬“statins”(遠藤 章)
* 青カビからstatins第1号を発見
* 生物学者たちとの戦い〜ラットに効かないから薬にならない
* 毒性学者たちとの戦い(その1)〜肝毒性騒動
* 毒性学者たちとの戦い(その2)〜発がん性騒動
* 強力なライバルの出現

3.糖尿病の新規分子標的薬〜脂肪細胞/インスリン分泌制御/グルコーストランスポーターなど(山内敏正/植木浩二郎/門脇 孝)
* インスリン分泌促進ホルモンインクレチンとその分解酵素DPP(協)2阻害薬
* グルコースの生体内への再取り込みを抑えるSGLT阻害薬
* 東京大学グローバルCOE「疾患のケミカルバイオロジー」とは
* 「疾患のケミカルバイオロジー」研究活動の達成目標
* 脂肪細胞をターゲットとした糖尿病の新規分子標的薬開発の試み

4. 次世代新薬の標的としてのプロスタグランジン(坂田大治/北岡志保/成宮 周)
* プロスタノイド合成をターゲットとした薬物〜開発の歴史
* プロスタグランジン受容体を標的とした薬物

■ 第II部 創薬開発のストラテジー

【第1章】立体構造に基盤をおいた創薬研究
1. 概説〜構造解析を用いた創薬開発(安井正人)
* 膜タンパク質の構造研究
* タンパク質複合体の構造機能研究
* タンパク質間相互作用およびタンパク質機能制御
* 分子動力学計算
* タンパク質構造に指南された活性化合物評価

2. 近年の薬物スクリーニング(福西快文/中村春木)
* in silicoスクリーニングによるヒット化合物探索
* リード創製のためのタンパク質-薬物複合体予測

3. 創薬開発におけるNMR法の活用(高橋栄夫/嶋田一夫)
* NMRスクリーニング手法とその特長
* NMR構造情報を活用した化合物リンク戦略

4.分子標的の創薬とIκBキナーゼβ阻害剤の開発(板井昭子)
* HTSの出現と問題点
* 論理的創薬手法の開発
* IKKβ阻害剤の開発

5. 構造解析に基づくRhoキナーゼ阻害剤の開発(合田圭吾/箱嶋敏雄)
* Rhoキナーゼ阻害剤
* Rhoキナーゼドメインの三次元構造
* Rhoキナーゼ阻害剤の結合様式
* 新規Rhoキナーゼ阻害剤の設計


【第2章】次世代の創薬研究
1. 核酸創薬の開発状況(藤原将寿/宮川 伸/中村義一)
* アンチセンス
* siRNA
* アプタマー

2. ショウジョウバエを用いた創薬研究〜ショウジョウバエ・モデルにおけるエネルギー代謝制御機構の研究(香山-古金谷綾子/三浦正幸/平林義雄)
* ヒト疾患研究に有効なショウジョウバエ
* ショウジョウバエ・モデルにおけるエネルギー代謝機構研究
* グルコース応答受容体BOSS/GPRC5B

3.魚類を利用した創薬(谷口善仁/武田俊一)
* HTSを可能にする小型魚類の特徴
* 新薬探索時の毒性評価
* 順化学遺伝学による新薬の探索
* TILLING法による疾患モデルの作製

4. ゲノム創薬の新機軸:インシリコ創薬(辻本豪三)
* ゲノム科学による医学,医療
* 薬理ゲノミクス(Pharmacogenomics:PGx)
* ゲノム創薬
* インシリコ創薬

5. 創薬標的としてのエピジェネティクス制御機構(竹本 靖/伊藤昭博/福田 勲/吉田 稔)
* エピジェネティクスによる遺伝子発現制御
* エピジェネティクス異常と疾患
* エピジェネティクス制御化合物の創薬応用への期待

6. ケミカルバイオロジーに基づく創薬研究(河村達郎/田代 悦/井本正哉)
* スクリーニングソースの供給
* スクリーニング
* 作用機構解析,薬理活性評価

7.幹細胞を用いた創薬(桜田一洋/坂井徳子/土肥-寺見浩美/鈴木 忍)
* 組織変性疾患に対する幹細胞創薬
* 卵巣ホルモン産生細胞の再生誘導薬探索

■ 索引


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