進化医学
人への進化が生んだ疾患
井村裕夫/著
第1章 病因論と進化医学〜なぜ,ヒトは病気になるのか?
- 病因論について ─ゲノム研究に基づく進歩
- 単一遺伝子性疾患と進化
- 多因子疾患における進化の分子記憶
- 病因論の新しい展開 ─集団遺伝学
- 進化医学とは
第2章 生命進化38億年の歩みと疾患〜生命の誕生,そしてヒトへ
- 生命の誕生と階層進化
- 原核生物の出現
- 真核生物の出現
- 性の進化
- 多細胞生物への進化
- 脊椎動物への進化
- 地上への進出
- 哺乳動物への進化
- そして人類へ
第3章 人類への進化と疾患〜ヒトが手に入れたものとその代償
- 人類の誕生 ─二足歩行を始めたヒトの祖先
- 原人への進化と脳の発達
- 現生人類(ホモ・サピエンス)への進化
- ヒトの全地球への拡散と適応
- 農業・牧畜から都市の形成へ
第4章 進化生物学と医学〜生物のしなやかな適応と,潜む落とし穴
- 自然選択と適応
- 自然選択の生物学的要因
- 自然選択の地球物理学的要因
- 自然選択の特徴
- 社会進化 ─進化のいま1つの要因
- 性選択 ─異性から選ばれることによる進化
- 種はどのように分岐するのか
- 進化論と遺伝学の矛盾を解決した総合学説
第5章 進化ゲノム学〜せめぎあい,生まれ,消えゆく遺伝子の功罪
- ゲノムの構成
- 遺伝子発現の調節
- インプリンティングとせめぎあい仮説
- インプリンティング異常疾患とトレードオフ
- エピジェネティクスと疾患
- ゲノムの進化 ─遺伝子重複の役割と試練
- ゲノムの多型と疾患
- 分子進化の中立説と分子時計
- 進化発生生物学(Evo-Devo)が解き明かす形態の進化
第6章 感染と防御機構の進化〜寄生体とともに共進化した人間と,そのために起こった疾患
- 感染症 ─生物を最も苦しめてきた疾患
- 温和な,しかし時として宿主に牙を剥く共生微生物
- 生体防御系の進化 ─自然免疫
- 生体防御系の進化 ─獲得免疫
- 寄生体の宿主への対応 ─巧妙なゲリラ戦略
- 抗生物質への耐性菌の出現
- 微生物の病原性,ビルレンス
- 感染症によって選択されたヒトの遺伝性疾患
- 自己免疫
- アレルギー ─進化医学の難題
- 腫瘍免疫
第7章 栄養・エネルギー代謝と進化〜肥満・糖尿病・高血圧はなぜ生まれたのか
- 生物とエネルギーの代謝
- オートファジー(自食) ─飢餓への備えから細胞機能の維持へ
- 貯蔵脂肪 ─飢餓に備えた貯蔵庫
- 糖質 ─利用しやすい重要なエネルギー
- インスリンの進化
- エネルギーホメオスタシスの調節
- 肥満 ─太りゆく人類
- 2型糖尿病 ─“大流行”の兆し
- メタボリックシンドロームと高血圧
第8章 捕食- 被食関係,体の大きさ,寿命の進化医学〜すべては生き延び,子孫を残すために
- 捕食−被食関係と進化
- 体の大きさと進化
- 生活史1 ─成長
- 生活史2 ─生殖
- 寿命
- 加齢に伴う疾患の進化医学
第9章 脳と心の進化と疾患〜文明が生み出した心の病
- 脳と心の進化
- 社会性の進化とその異常
- 脳の発達とその異常
- 精神疾患の進化医学
- 疾患クローズアップ