PROTEIN, NUCLEIC ACID AND
ENZYME |
VOL.54 NO.7 2009 |
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A4変型判 100ページ T1105941091588
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ISSN 0039-9450 共立出版株式会社
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多様な神経機能を制御するキナーゼCdk5
編集 久永眞市
特集にあたって
久永眞市
神経細胞の移動とCdk5
大島登志男
Cdk5は最終分化した神経細胞に発現するユニークなキナーゼである.Cdk5ノックアウトマウスの解析から,Cdk5が哺乳類の大脳皮質の層構造形成に必須の神経細胞の移動に重要な役割をはたすことがわかった.
軸索ガイダンスおよびシナプス形成とCdk5
山下直也・中村史雄・五嶋良郎
Cdk5は神経突起の伸長制御やシナプス蛋白質の発現制御など,軸索ガイダンスやシナプス形成において多様な機能をはたす.これらの機能は,Cdk5を活性化するさまざまな細胞外シグナルによりもたらされている.
Cdk5の非神経細胞における機能:インスリン分泌の制御
富澤一仁
Cdk5は神経細胞でのみ機能すると考えられてきたが,膵臓β細胞にも発現しインスリンの分泌を制御していることが明らかになった.また,Cdk5は2型糖尿病治療薬の新しい標的としても有用なことが示唆された.
ドーパミンシグナルと薬物依存におけるCdk5の役割
西 昭徳
ドーパミンシグナルはプロテインキナーゼAシグナル伝達系によって伝達される.Cdk5がこれを抑制的に調節することが明らかとなり,薬物依存において活性化されるこのシグナル伝達系の適応機構として注目される.
Cdk5の異常活性化による神経細胞死および神経変性疾患
斎藤太郎
Cdk5の異常活性化が,アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患に共通にみられる神経細胞死を誘導することが明らかになりつつある.さまざまな神経変性疾患の発症におけるCdk5のかかわりにつき解説する.
オリゴデンドロサイトの発生過程におけるCdk5の役割
宮本 幸・山内淳司
グリア細胞におけるCdk5の発現は確認されていたものの,その役割は謎だった.しかし最近,Cdk5はグリア細胞を構成するオリゴデンドロサイトの発生過程において中心的な役割を担っていることがわかってきた.
Cdk5 神経細胞の移動と層構造の形成 神経突起 シナプス可塑性
神経変性疾患 オリゴデンドロサイト インスリン分泌
植物ホルモン受容体によるシグナル伝達制御の構造研究
平野良憲・村瀬浩司・箱嶋敏雄
代表的な植物ホルモン,ジベレリンおよびオーキシンの受容体の立体構造がついに明らかとなった.これにより解明された,植物ホルモンの認識機構,および,受容体を介した下流へのシグナル伝達機構について概説する.
味覚修飾蛋白質ネオクリンの活性化機構と新規甘味蛋白質の開発
中島健一朗・古泉文子・朝倉富子・三坂 巧
植物クルクリゴに見いだされたネオクリンは,それ自体が甘いだけでなく,酸味を甘味に変換する作用をもつ味覚修飾蛋白質である.ヒト甘味受容体によるネオクリン受容の分子機構と,新規甘味蛋白質の開発を紹介する.
線虫の細胞自律的な軸索再生
心臓の半減期
Oh No! NOが筋ジストロフィーの原因となる!
タウオパチーは第2のプリオン病か?
ナノスケールの分解能をもつMRI
ウイルスの磁気共鳴力顕微鏡によるイメージング
マトリックス接着シグナルによる血管新生の形成制御
細胞による細胞外マトリックスの硬さの識別
細胞間トンネルを伝わるプリオン
感染による自己免疫性のT細胞誘導機構
共焦点顕微鏡の過去と未来
寺川 進
■ シリーズ 正しい知識が捏造を防ぐ:データを正確に解釈するための6つのポイント |
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微妙なデータをどう表現するか
骨研究分野での実験データ解釈を例として
加藤茂明
花房秀三郎先生を偲ぶ
松田道行
BIOWEB(R)サービスに関するお問い合わせ: service@bioweb.ne.jp
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