体細胞分裂周期では減数分裂特異的mRNAが選択的に除去されている
張ヶ谷有里子・山下　朗・田仲加代子・山本正幸

分裂酵母を用いた解析から，体細胞分裂周期において減数分裂特異的なmRNAが発現したとき，それらを選択的に除去する機構が存在していて，この機構が正しく稼働しないと細胞は生育できないことが明らかとなった．

中枢神経回路の再生と可塑性
山下俊英・羽田克彦・山口　淳・久保武一

長らく中枢神経は再生しないと信じられてきたが，最近の研究から，成体の神経回路でも再構築が起こりうることが明らかになってきた．神経可塑性の分子メカニズム解明は，新たな治療法の開発につながると期待される．

植物の維管束形成・茎頂分裂組織の構築に関与するペプチドホルモン
澤　進一郎・福田裕穂

植物の形態形成において，12アミノ酸残基からなるペプチドホルモン，CLEペプチドが維管束形成や茎頂分裂組織の構築を制御していることが明らかになった．さまざまなCLEペプチドの機能解析について紹介する．

ChIP-on-chip法によりみえてきたSmc5/6複合体による染色体維持機構
須谷尚史・白髭克彦

Smc5/6複合体は，染色体分配とDNA損傷修復に必須である．ChIP-on-chip法による出芽酵母ゲノム上でのSmc5/6複合体の染色体結合位置の同定により，その機能について大きな洞察が得られた．

免疫記憶を担うリンパ球とその機能を操る分子メカニズム
高橋宜聖

免疫記憶中枢を担う記憶B細胞の解析から，その制御分子が同定されつつある．記憶B細胞がいかに抗原情報を保存し，再侵入した抗原を効率よく排除するのか？　もっとも高度な生体防御系である免疫記憶の実体に迫る．

電子顕微鏡観察が明らかにするダイニン腕の構造と運動機構
大岩和弘・榊原　斉・石川　尚

真核生物の鞭毛・繊毛の波打ち運動をつくり出す，ダイニンの分子形態や構造変化が明らかになってきた．電子線トモグラフィーにより，軸糸内のダイニン腕の構造についても高い空間分解能での観察が可能となった．

電子線結晶構造解析によるミクロソームグルタチオン転移酵素の立体構造
刑部伸彦・光岡　薫

酸化ストレスや解毒のためグルタチオン代謝を行なう膜蛋白質にグルタチオン転移酵素がある．その構造が2次元結晶を用いた電子線結晶構造解析により決定され，そこから構造と機能の多様性との関連が明らかになった．

蛋白質の高精度2次構造予測
金城　玲

蛋白質の配列および構造情報の増大に伴って，高精度の2次構造予測が可能になった．蛋白質構造予測は，もはや一部専門家の研究対象ではなく，多くの研究者にとって便利な道具として使われる段階に達しようとしている．

ES細胞から内胚葉系の内臓細胞をつくる
安永正浩・西川伸一

生体内での内胚葉系器官の正常発生プロセス理解のため，試験管内で内胚葉分化過程をモニタリングするシステムが開発された．このことで可能となった，ES細胞を用いた内胚葉系内臓細胞の分化誘導について解説する．

10年後のパソコンは“ウイルス”だらけ!?
白金-タバコモザイクウイルス複合体によるデジタルメモリ

粉々になったゲノムをもとどおりにつなぐ
伸長合成依存的な鎖対合モデル

八面六臂の活躍？
いろいろな横顔をみせるクロロフィル合成酵素

イオンポンプはポンプではない？
Na⁺,K⁺-ATPase分子を通したイオン浸透

蛍光偏光顕微鏡が解いたセプチン線維配向の謎

レンズ誘導に関する新事実
頭部プラコードのデフォルトの発生運命はレンズである

前頭側頭型認知症の新展開
原因遺伝子と封入体蓄積物質の同定

p97は多才な名脇役
小胞体関連分解におけるAAA-ATPase，p97の役割

小胞体シャペロンを標的とする細菌毒素

細胞毒素が細胞生存を誘導する

田中智之（スコットランド）

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