バイオウェブ

実験医学増刊 Vol.20 No.11 2002
ゲノム機能を担う核・染色体のダイナミクス
複製、修復、組換え、転写機構からエピジェネティクス、高次生命機能・医学とのかかわりまで
 出版社  羊土社

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編集:花岡文雄,永田恭介
概論 ゲノムIN SITU
永田恭介
1.試験管の中からのスタート 2.In situでのゲノム機能 3.かたや原子,かたや固体 4.ゲノムワイドな視点

■ 第1章 DNA代謝と染色体制御

1.基本転写因子の形成する転写開始複合体による遺伝子発現の調節
大熊芳明
1.Pol IIと基本転写因子 2.転写開始複合体による転写開始段階 3.転写開始複合体の転写伸長への移行段階における役割

2.pre-RCの形成とDNA再複製の抑制機構
関 丘,杉野明雄

1.pre-replicative complex(pre-RC)の形成 2.複製開始過程の制御

3.DNAの塩基損傷とその修復機構の多様性
菅澤 薫,花岡文雄

1.多様なDNA塩基損傷とその影響 2.DNAの塩基損傷を修復する分子機構 3.塩基損傷による転写,複製のブロックとその回避

4.DNA二重鎖切断と組換え修復
森下 卓,品川日出夫

1.相同組換えの基本モデル 2.大腸菌における相同組換えの分子機構 3.真核生物における相同組換え 4.非相同末端結合 5.停止した複製フォークを再生させるしくみとしてのホリデイ構造の形成と相同組換え

5.テロメア結合タンパク質によるテロメア制御
加納純子,石川冬木

1.真核生物におけるテロメア結合タンパク質の特徴 2.spRap1およびspRif1のテロメア制御機能 3.spRap1およびspRif1のテロメア局在はTaz1に依存する

6.セントロメアの構造と機能
舛本 寛,中野めぐみ,大関淳一郎

1.セントロメアの機能と構造:キネトコア 2.チェックポイント機構と姉妹染色体の分離 3.DNA配列に依存するセントロメア形成機構 4.アルフォイドDNAはセントロメアDNA配列か? 5.セントロメアとエピジェネティクス

■ 第2章 クロマチンとエピジェネティクス

1.クロマチン形成とリモデリング
中川武弥,相原 仁,池原 強,伊藤 敬
1.NAP-1は多段階のステップでヒストンをDNAに転移する 2.スペーシング因子ACFによるヌクレオソームの可動化 3.遺伝子転写開始とヌクレオソームの変化 4.ヌクレオソームのリモデリング因子 5.ヒストンのアセチル化とクロマチンの流動化 6.クロマチン形成とリモデリングの調節
2.ヒストンのアセチル化とクロマチン制御
田上英明
1.ヒストンアセチル化酵素(HAT) 2.HATの発見と転写との関係 3.HAT複合体と生理的機能 4.ヒストンアセチル化の分子機能 5.クロマチンリモデリング因子との関係 6.他のヒストン修飾との相互関係

3.ヒストンのリン酸化とその生理的意義
安田秀世

1.細胞周期の進行,分裂期染色体凝縮にかかわるヒストンのリン酸化
2.DNA損傷,アポトーシスにかかわるリン酸化

4.ヒストンのメチル化とクロマチン構造の変化
中山潤一

1.ヒストンメチル基転移酵素とクロマチン構造 2.ヒストンメチル化と転写調節 3.ヒストンメチル化修飾と染色体機能

5.ゲノムインプリンティングとエピジェネティック修飾機構
辻本直美,佐々木裕之

1.インプリンティング遺伝子とDMR 2.メチル化インプリントの消去と確立 3.DNAメチル化酵素の機能 4.メチル化に依存しないゲノムインプリンティング

■ 第3章 核のダイナミクス


1.細胞周期における核膜の崩壊と再構成
堀米恒好,古川和広,小俣三郎
1.核形成のトポロジー 2.核膜の崩壊と再構成 3.核ラミナの崩壊と再構成 4.核膜孔複合体の崩壊と再構成 5.病気との関係
2.核マトリックスへの新しい視点
筒井 研
1.核マトリックスは実在するか? 2.MARとMARに作用するタンパク質からのアプローチ

3.クロマチン機能ドメイン形成−アクチン関連タンパク質の関与
原田昌彦,尾間由佳子

1.核内に形成されるクロマチン機能ドメイン 2.クロマチン機能ドメインの確立に関与するタンパク質 3.クロマチン機能ドメインと細胞機能

4.核小体構築のメカニズム
才脇卓也,米田悦啓

1.核小体の構造 2.リポソームのバイオジェネシス 3.分裂期終了後の核小体再構築

5.ビジュアルバイオロジー1
核酸から核へ−遺伝子の“かたち”を探る旅

日詰光治,吉村成弘,竹安邦夫

1.“見る”ためのいろいろな方法 2.“見る”ことによってわかるDNA分子の高次構造構築の決め手 3.“見る”ことによってわかるDNA高次構造に影響を及ぼすタンパク質の機能 4.“見る”ことによってわかるゲノムの核内存在様式 5.分解能の限界に挑む

6.ビジュアルバイオロジー2
細胞核のダイナミクス

原口徳子,平岡 泰

1.染色体の動態 2.核膜と核ラミナの動態 3.核小体の動態 4.核内ボディー(nuclear bodies)の動態 5. Interchromatin Space

■ 第4章 遺伝子発現と高次生命機能

1.ヘテロクロマチンと染色体接着因子コヒーシンの機能的リンク−分裂酵母による研究を中心に
渡辺嘉典

1.セントロメアとヘテロクロマチン 2.染色体接着因子コヒーシンと染色体分配 3.ヘテロクロマチン形成に依存して濃縮されるコヒーシン 4.ヘテロクロマチンとコヒーシンの機能的相互作用 5.動原体におけるコヒーシンとAuroraキナーゼの関係

2.線虫C.elegansを用いた発生と神経機能の解析
桂 勲

1.線虫C.elegansの研究材料としての特徴 2.C.elegansを用いた発生と神経機能の解析法 3.C.elegansの神経機能の研究:経過と結果

3.Notchシグナルと環境因子−ショウジョウバエを用いた神経系形成機構の解析
梅園良彦,広海 健

1.ショウジョウバエ末梢神経系における細胞分化の多様性とNotchシグナル 2.グリア細胞の分化とNotchシグナル 3.Notchシグナルの出力を規定する環境要因 4.Notchシグナル依存的なグリア細胞分化を規定する環境要因

4.ウニ胚を用いた核構造と遺伝子発現調節の解析
赤坂甲治

1.クロマチンの境界“インスレーター” 2.ウニ・アリールスルファターゼ遺伝子(ARS)上流のインスレーター 3.ウニArsインスレーターは種を越えて機能する 4.ウニArsインスレーターはポジション効果によるサイレンシングを抑制する

5.親電子性物質センサー分子同定をめざしたゼブラフィッシュの活用
小林麻己人

1.親電子性物質による異物代謝酵素群遺伝子の転写誘導 2.Nrf2による転写誘導機構の保存性 3.Nrf2活性化の鍵を握る細胞骨格系タンパク質Keap1 4.親電子性物質のセンサー分子を探索する

6.マウス個体を用いた血液細胞の発生・分化とゲノムの機能発現
大崎 牧,山本雅之

1.マウス個体を用いた実験系の意義 2.造血幹細胞の発生・文化に働く転写因子群 3.複数の転写調節因子による協調的な血液細胞の分化制御機構 

■ 第5章 遺伝子発現と医学

1.コケイン症候群:転写とDNA修復のカップリング機構解析のパラダイム
田中亀代次

1.コケイン症候群および色素性乾皮症におけるヌクレオチド除去修復異常 2.コケイン症候群細胞における転写と共役した塩基除去修復異常 3.コケイン症候群細胞における転写に関連した異常 4.コケイン症候群マウスモデル 5.コケイン症候群に類似したヒト遺伝疾患および他の動物モデル 6.転写と共役した修復機構におけるコケイン症候群タンパク質およびその他のタンパク質の役割

2.CAGリピートの不安定性と神経疾患
佐藤俊哉,辻 省次

1.ポリグルタミン病とCAGリピートの不安定性 2.DRPLA動物モデル 3.不安定性の分子機構−DNA複製・修復機構との関連

3.白血病における転写とクロマチンの制御
北林一生

1.急性骨髄性白血病における染色体転座により生じる融合ヒストンアセチル化酵素 2.AML1はヒストンアセチル化酵p300/CBPおよびMOZとの複合体として機能する 3.AML1-MTG8はHDACとの複合体として転写を抑制する 4.MOZ-CBPもAML1の機能を阻害する 5.AML1複合体は白血病発症の主要な標的である

4.ゲノム刷り込みと疾患
目黒牧子,押村光雄

1.Prader-Willi症候群(PWS),Angelman症候群(AS) 2.Beckwith-Wiedemann症候群(BWS) 3.Silver-Russell症候群(SRS) 4.ゲノム刷り込みと腫瘍 5.ゲノム刷り込みの関与が疑われているその他の疾患

5.ウイルス複製と核ダイナミクス
下山多映,永田恭介

1.アデノウイルスクロマチンの複製と転写 2.ウイルス複製と高次核内構造

6.NAD代謝とゲノム構造の制御−Sir2の機能と老化・寿命の分子生物学
今井眞一郎

1.NAD依存性脱アセチル化酵素Sir2とその反応機構 2.核内のNADサルベージ経路とサイレンシング 3.老化・寿命の分子メカニズムとSir2

7.アポトーシスにおける核構造の変化
刀祢重信

1.アポトーシスにおける高分子の選択的切断 2.アポトーシスのcell-free系の確立と核凝縮のステージ表 3.アポトーシスにおける核凝縮はM期凝縮の失敗か? 4.核タンパク質の修飾と切断 5.DNA切断と核凝縮

8.マイクロアレイによる遺伝子発現プロファイリングと医学
後藤 均,門田幸二,里見 進,岡崎康司

1.疾患の遺伝子発現プロファイリング 2.遺伝子のスクリーニング−虚血・再灌流傷害保護因子の検索 3.マイクロアレイのデータの考え方

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