PROTEIN, NUCLEIC ACID AND ENZYME |
VOL.49 NO.8 2004 |
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A4変型判 100ページ T1105941091588
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ISSN 0039-9450 共立出版株式会社
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自然免疫応答と異物認識
ペプチドグリカン認識蛋白質ファミリーの登場
編集:倉田祥一朗
序
倉田祥一朗
総論:自然免疫とPGRP
名取俊二
ショウジョウバエTollとその哺乳動物ホモログTLRは,自然免疫を活性化するレセプターとして機能する.昆虫では,微生物成分はTollの直接のリガンドではなく,その上流で働くPGRPが感染微生物の最初の認識分子と考えられる.
ペプチドグリカンの構造と哺乳動物の免疫調節
高田春比古・上原亜希子
ペプチドグリカンは細胞表面のToll-like receptor-2で認識される.一方,ペプチドグリカン断片は細胞内のNOD 1とNOD 2分子によって認識される.ペプチドグリカンを巡る新たな自然免疫研究が始動しようとしている.
ペプチドグリカンによるフェノール酸化酵素前駆体カスケードの活性化
芦田正明
昆虫の自然免疫系において,PGRPは微生物成分を認識しフェノール酸化酵素前駆体(proPO)カスケードを活性化する.そして,このproPOカスケードの構成因子により受容体TollのリガンドSpatzieが生成される.
ショウジョウバエPGRPファミリーによる異物認識と免疫応答誘導
倉田祥一朗
自然免疫では,有限の因子で多様な病原体を識別する必要がある.ショウジョウバエでは,PGRPファミリー分子がバクテリアの有するペプチドグリカンの多様性を識別し,感染に応じた免疫応答を誘導することが明らかとなってきた.
PGRPの分子進化からみえる自然免疫系の起源と多様性
Adriana M. Montano・颯田葉子
脊椎・無脊椎動物に共通な自然免疫系の分子PGRPは,その進化の結果多様な分子を生み出した.この多様性がいつどのように生成されたのか? この多様性生成機構を理解することは,自然免疫系の起源と進化の理解につながる.
分裂前期を制御するキナーゼ
細胞分裂はいかに準備されるか
広田 亨
細胞分裂期の第一段階である前期は,きわめて劇的な生化学的・形態学的変化を伴う時期である.前期の進行はどのように制御されるのか.最も新しいデータを紹介し,分裂期キナーゼの役割から「前期」を論考する.
自然免疫 パターン認識 ペプチドグリカン
蛋白質構造変換酵素FKBPによる遺伝子発現制御機構
堀越正美・日向亮介・葛原 隆
免疫抑制剤FK506の結合蛋白質である核型FKBPが新しいタイプのヒストンシャペロンであり,細胞増殖・老化に深くかかわるrDNAヘテロクロマチン領域でのサイレンシング反応に関与することを発見した.
RNAゲノムの転写と複製
インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼの機能制御
本田文江・石浜 明
インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼは,mRNAの転写とゲノムRNAの複製の両方を行なう多機能酵素である.その活性制御には「RNAエフェクター」が,また機能特異性変換には「宿主因子」が関与している.
大腸菌ラクトース輸送体の構造
膜能動輸送のマシーナリ
岩田 想
数々の結晶学者の挑戦を退け続けてきたラクトース輸送体の構造がついに明らかになった.生化学的に最も詳細に研究されてきた輸送体研究のモデル蛋白質である.この結果から基質と水素イオンの共輸送機構が提唱された.
ゴミはゴミならず
転写調節に働くsmall dsRNAの発見
SNAREにもアイがあった
ゴルジ体膜融合における新たな機能の発見
リチウム飲んでストレスから頭を守ろう!
食事をすると骨は太る
膵臓から分泌されるアミリンによる骨吸収抑制
腸管上皮のコレステロール輸送体の同定
NK細胞によるcisとtransのMHCクラスI認識
(6)脳科学からバイオインフォマティクスを見る
甘利俊一
生命の情報過程解明には生命科学と情報科学の融合が必要で,これを目指すのがバイオインフォマティクスとそれにつづくニューロインフォマティクスである.
(6)日々の研究と特許権
小林 浩
欧米で研究を行なったり,研究材料の分譲を受けたりする場合が増えている.トラブルを防止し,自己の研究成果を特許として保護するための知識を提供する.
酵母研究の向かうところ
“International Workshop for Integrated Yeast Science”に参加して
川崎泰生
BIOWEB(R)サービスに関するお問い合わせ: service@bioweb.ne.jp
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